広告関係者様へ
関係法令に沿った広告表現・情報提供の基準をご紹介します。

製薬協(日本製薬工業協会)が公開した「治験に係わる被験者募集のための情報提供要領〈改訂版〉」(以下、「製薬協ガイドライン」という)は、治験に関する情報提供を行う多くの立場から参考となっています。
そして日本PRO協会は製薬協ガイドラインを補う位置づけとして「治験の被験者募集に係わる情報提供自主ガイドライン(第1.0版)」を策定しました。
関係法令に沿った広告表現・情報提供の基準の詳細は各ガイドラインをご確認下さい。

[製薬協ガイドライン] [日本PRO協会自主ガイドライン]

治験に係わる被験者募集においては、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課の通知で、提供できる内容が決められています。
また、治験の情報提供内容は、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(Good Clinical Practice:GCP)第32条1項2)に、被験者の募集の手順に関する資料は治験審査委員会(Institutional Review Board:IRB)の責務として審査を行う事が求められています。
IRBにて承認を得ていない表現を使用する事は省令に対する違反となる可能性があります。

表1 被験者募集のための情報提供内容

  • 情報提供内容
    適否
  • 治験薬の名称(治験記号を含む)
    ×(注1)
  • 治験薬の予定される効能または効果 (注2)
  • 治験薬の予定される用法または用量
  • 対象疾患名および症状名
  • 対象基準
  • 治験目的 (注3)
  • 治験内容
  • 被験者負担軽減 (注4)
  • 治験実施医療機関名
    ○(注5)
  • 治験責任医師名、診療科名
    ○(注5)
  • 治験依頼者名
  • 募集期間
  • 問い合わせ先 (注6)

日本製薬工業協会 医薬品評価委員会「治験に係わる被験者募集のための情報提供要領〈改訂版〉」より引用。
注については引用元をご参照ください。

また、適正な情報提供を行うためには、表現に十分留意する必要があります。

【情報提供の際に用いる表現等の制限事項】
表右は不適切な表現の具体例

  • 虚偽または誇大な表現
    絶対、絶大、莫大、最速、最大、最高、抜群、嬉しい、 悲しい 等
  • 他社の治験薬及び製品を誹謗するような表現
    これまでの薬の辛い副作用が・・・
    今までの薬で治療効果が無かった方・・・
  • 医薬、薬学の専門家などが保証や推薦したものと誤解を与える表現
    △△名誉教授が最も有望な治療方法と言っています。
  • 不快、不安の感じを与える表現
    その症状を放っておくと、○○病になります。
  • 品位を損なうような表現
    今すぐお電話!(十分な検討の時間を与えない)
    性的、金銭的、暴力的、政治的、宗教的な連想をさせる写真やイラストの使用
  • 金銭の支払いによって誘引するような表現
    治験参加で、5,000円のギフトカードをプレゼント
    通常20万円相当のPET検査が無料で受けられます
  • 金銭の表記を誇張するなど、広告の品位を損なうような表示
    負担軽減費 ¥120,000 -(金額部分を強調する)
    お札の図柄や札束、「¥」「$」などのマークが記載されている
  • 治験の参加が高額アルバイトと認識されるような表現
    治験でがっつり稼ぎましょう
    治験アルバイト、高額治験、高額報酬 等

不適切な表現についての詳細や、正しい表現の具体例は日本PRO協会自主ガイドラインをご参照ください。

その他の注意事項

・引用の際には情報提供の内容や表現を変更してはならない
書き換えによって意味が変わってしまい、IRBで承認を得た内容と異なってしまう。また、SNSなどでは情報発信者が個人の見解を記載することができるが、その内容によって誤った理解を広めてしまう可能性がある。

・引用の際には出典を明記、出展のリンク先URLを掲載し、原典となる情報提供側でも引用のルールを明確にすること
「上記内容の無断転載を禁止します。」
「引用・転送する場合は、本文の記載内容を一切変更せず、必ず原典のリンクを掲載してください。」等

・本人が望まない形での情報提供は行ってはならない
無作為な対象に掛けられた電話による情報提供
広告配信が許諾されていないメールアドレスに対する情報提供

※この他の注意事項、表現の詳細については各ガイドラインをご参照ください。

治験広告を実施する再委託先としての責務

治験の被験者募集を目的とした広告を掲載する媒体様や代理店様におかれましては、製薬企業もしくは治験実施施設(病院やクリニック)からの直接的な依頼、もしくはその業務の委託を受けた企業(CRO/SMO/PRO)から、治験広告の掲載に関する相談を受けることがあると思います。
治験業務においては、業務の直接的な委託先だけではなく、再委託先、再々委託先と、全ての委託先において、正しく業務が行われているか、委託元は管理・監督する事が求められており、これは広告媒体様、広告代理店様もその対象となる事を意味しています。
広告表現が適正か否かの判断は、依頼元にゆだねられる部分も大きいですが、媒体や代理店としても、自ら判断の基準を設けておくことで、不適切な広告表現を行った際のトラブルや損害を事前に回避する事ができます。
昨今、アフィリエイトやリスティング広告など、成果報酬型の広告が増えている関係から、簡素に分かりやすく伝えようとするあまり、どうしても行き過ぎた広告表現が行われるケースがあります。治験においては、そのような表現を行う事を厳しく制限されておりますので、当協会のガイドラインを参考に、皆様が取り扱う治験広告について、今一度ご確認をいただければ幸いです。

なお、当協会の会員企業として活動する事で、治験広告に関する理解を深めるとともに、臨床試験・治験における業界の情報を得る事ができます。入会に興味がありましたら、下記よりお問い合わせください。